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前編では肥大型心筋症と診断されるまでの経緯をお話しました
後編では、その後慢性腎不全を発症してから現在のおこわについてお話したいと思います
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慢性腎不全と戦うおこわ
実は別のトラブルから発覚した慢性腎不全
肥大型心筋症と診断されたおこわですが、心拍数を下げるお薬を頂くのと心拍数を先生に確認して頂く目的で月1回通院することになりました。
そんなある日、突然後脚がふらついて動けなくなってその場でじっとするおこわ。
水のような透明でさらさらのヨダレを垂らしている。
ばあやと二人パニックになり、どうしようどうしようとオロオロ。
そうこうしているうちに元の状態に戻りおこわはご飯を食べ始めた。
これは・・・癲癇(てんかん)なのか???
でも調べたことがあるおネコ様の癲癇(てんかん)には何となく症状が当てはまらないけど・・・
近所の病院に急いで電話して聞いてみると、癲癇(てんかん)かもしれないけど意識はある状態だから軽度だと思うので、様子を見て頻繁になるようなら連れてきてとのこと。
うーん・・・・それでいいのか???とちょっぴり不安に思いながらも、ひとまず普通にごはんも食べてるし様子を見るしかないのかな・・・と、様子を見ることに。
一週間くらい経ったころかな。また同じ症状が出た。
近所の病院、先生も看護師さんもとても感じが良くて大好きなんですが・・・
今回はごめんなさい。おこわのお薬をもらっている病院へ連れていきます。
私の説明を聞いた先生は癲癇とは思わなかったようで、ひとまず心拍数のチェックや心臓のエコー、血液検査などで原因を探ってみる。
発作的な症状には心臓や腎臓などの病気の影響が考えられる場合も多々あるそうです。あとは脳とか・・・
結局決定的な原因はわからなかったのですが、心臓との関連を否定は出来ないので、大きな音とかそらとのけんかとか、心拍数が急に上がってしまうような事に注意して様子を見ることになったのですが・・・
この検査の際に腎機能の数値が慢性腎不全である事が発覚。
腎臓病の療法食に切り替える事になりました。
猫ちゃんの腎臓病の症状の一つが【多飲多尿】なのですが、最近よく水を飲むなあと思っていた矢先のことでした。
第一関門・療法食への切り替え
療法食をお猫様達が思うように召し上がって下さらないという悩みはつきない。
腎不全のみならず、様々な病気の療法食を好んで食べるお猫様はなかなかいないですよね。
うちのそらは、今でこそ健康体なのでおこわの療法食の食べ残しを盗み食いするくらい喜んで食べているけど、いざ病気になったらきっと食べないんだろうと思います。
腎不全のお猫様は、脱水による吐き気であまりご飯を食べなくなります。
療法食は、腎不全の影響で食が細くなってしまうお猫様達が少量でしっかりカロリーを摂取できるような配合がされているので、吐き気止めや食欲不振を改善するお薬などを処方してもらって、第一段階はとにかく療法食をしっかり食べてもらう。
そんな療法食ですが・・・どうやら人間の病人食と全く同じで味が薄いらしいのですよ・・・リンとナトリウムの量を調整して少なくしているのですが、ナトリウムって食塩の主成分の一つなんですよね。
要するに塩分控えめということです。
お猫様のごはんも、塩分が少なければあまり美味しくない。人間と同じです。
以前知り合いが言ってたけど、外食が美味しいと思う一番の理由は塩を多く使っているからなんだそうな。
そんなお猫様達でも喜んで食べてくれるように、風味が豊かで食いつきが良くなるよう様々な工夫がされている療法食ですが・・・これも人間と同じで、しょせん風味やうま味も塩分にはかなわない。しょっぱいものはうまし。
でもって、お世話係たちは様々な療法食を揃えて食べてもらおうと頑張る。
私が今まで見た腎不全の治療を頑張るお猫様達のお世話係さんたちのブログなどで共通しているのは、
- 今日おいしそうに食べているフードを明日もおいしく食べるとは限らない
- 食べなくなったフードをダメもとで数週間・数か月後に出してみたらブームが再来したらしく急に食べだす
- 日替わり・週替わりで食べるフードが変わる事が多い
- 療法食は断固拒否する
などなど。うちのおこわも同様です。
おこわは体重が落ちてきてしまって時々すごく腎機能の数値が悪くなってしまう事があるので、療法食にこだわらずに食べてくれるご飯を食べさせる事がメインになってますが、やっぱり心配なのでサプリメントで調整したり、時々療法食を出してみたりして食べてくれる時は療法食を出来るだけ食べてもらうようにしてます。
そんなわけで現在は基本ビュッフェスタイルでご飯をお出ししてます。
猫の慢性腎不全 ごはん事情療法食への切り替えは、ご飯をあげるだけなはずなににとても難しくて悩んでいる人がたくさんいると思います。
他のごはんとそんなに変わらないように見えて、ただでさえ吐き気などで気分が悪いお猫様達にとっては食べようという気持ちになかなかならないものなので、いかに工夫して食べたくなるようにしてあげるかがとても大事です。
日ごろからどういったご飯やトッピングを喜ぶのか、お猫様の好みをよ~~~~く観察してあげてください。
おこわはかかりつけの獣医さんと相談して、今はとにかく食べてくれるものを食べたいだけあげるようにしてます。そうしないとどんどん痩せて腎機能が落ちてしまうので・・・
健康体だったころは、健康に気を使って病院で勧められたご飯と本当に時々ちゅーるをあげる程度だったのですが、今となってはいろんなメーカーの美味しいご飯やおやつを食べ放題なおこわです。
そして万年家はお店を開けるくらい色んな種類のフードが並んでます。先日病院で同じ腎不全のお猫様のお世話係さんたちの会話を聞いていたら全く同じ事を言っていたのでこれは腎不全お猫様あるあるなんだろうと思う。
おこわの食べ残しを盗み食いして巨大化してしまったそらです
第二関門・自宅での皮下点滴
腎臓の機能が低下すると、体に水分をためておく事が出来なくなり、尿としてどんどん出てしまいます。
体の水分が足りなくなったお猫様はその分喉が渇くのでお水をたくさん飲むようになります。
これが多飲多尿と言われる腎臓病の症状です。
病気が進行していくと、自力で取り入れる水分(お水や食事の水分)だけでは水分補給が追いつかなくなり、脱水を起こすようになります。
脱水によって気持ちが悪かったり吐き気がしたりして、お猫様は食欲がなくなり、ご飯をあまり食べなくなってしまいます。そのままだとどんどん病気が悪化してしまうので、脱水を改善するために「皮下点滴」をして体に水分を補給します。
筋肉と皮膚の間の部分に水分を点滴して、自力で追いつかない水分を補う方法を「皮下点滴」といいます。
腎不全のお猫様のお世話係さんたちは皆さんご存知だと思います。
病院でももちろんやってくれるのですが、脱水の状態によっては一日おきとか毎日とかの時もあるので、そうなると経済的にきつくなってくるし、何よりお猫様達にとって通院は超ストレスなイベントです。
そこで、自宅で点滴が出来るように病院で教えてもらいます。
そうすれば点滴の度に病院に連れて行かなくてもいいので、お猫様達のストレスを軽減することが出来るし、更には点滴セットの料金のみで済むので経済的にも少し楽になります。
3回くらい病院で先生と一緒に点滴の練習をします。
まず、針を背中に刺す事にものすごく抵抗がある。皮膚に刺さるだけなら痛くないと言われるけど、
本当に痛くないんですか?猫が痛くないって言ったんですか???
と聞きたくなってしまうわたくし。
何より大事な我が子に針を刺すのはつらい。獣医さんもいまだに我が子(わんちゃん飼ってる)に針を刺すときは手が震えると言っていた。
よその子は大丈夫なのか・・・とつっこまないであげて下され。結局仕事だからね・・・よその子は。それは仕方ない。
でも、具合が良くなるなら心を鬼にして針を刺さねば。獣医さんを横目でチラチラ見ながら、手をプルプルさせ愛しいムスメの背中に針を刺す。
うんともすんとも言わないおこわ。痛くないわけないと思うけど、騒ぎ立てるほどの痛さでもないのかな。人間の採血くらいの感じ?
ちなみにこの頃から私は、大嫌いな自分の採血を無になって受けるようになった。おこわが毎日のように針を刺されても耐えているのに私が嫌がっている場合ではない。
病院での練習は、本当かどうかわからないけど針を刺すのが上手だと褒められて調子に乗り3回とも滞りなくクリア。
いよいよ自宅での点滴に挑戦。
3回くらいでちゃんと出来るようになるかって、そんなわけないと思うけどもうやるしかない。慣れるしかない。
自宅で上手に点滴をしているお世話係さんたちのブログや動画を参考にして、小さめのキャリーに入ってもらってやることにする。
じっとしててくれるわけもない。病院では全然嫌がらなかったのに・・・病院の診察台ってアウェイ感があるし観念するんだけど・・・
そう。ホームでは自由です。そう簡単におとなしく刺されっぱなしにはなりませぬ。
キャリーの横から入る入口を半分くらい開けて顔を出しておいて、ばあやがそこからちゅーるをあげている隙に点滴をしてみたけど、キャリーがちゅーるまみれになり断念。
準備の段階でも頭が真っ白になって輸液ラインのクレンメを開けっ放しで輸液バッグに針を刺し、おこわに針を刺す前に輸液が流れ始めてしまう。
まるで消防士さんの手を離れてしまった消防車の暴れホースのように輸液ラインがテーブルの上で輸液をまき散らして暴れる始末・・・
1回目は散々だった。何より、自分が点滴をした事でおこわに何かあったらどうしようという恐怖でその日は眠れなかった。
2回目以降は、少しの工夫と、何より心を落ち着けてから始めることに。
- 点滴に集中できるように、それ以外の用事を全て片付けてから始める
- 手順書を作って一つ一つ確認しながら作業を進める・・・病院で習った手順通り出来れば心配なし
- おこわが入りたがるカゴや箱などの中で、おやつでごまかしながら速やかに終わらせる
この3つをひたすら頭に叩き込んで、やっと慣れてきた今日この頃です。
点滴お役立ちグッズの紹介
ここで、点滴を速やかに終わらせるために私が用意した道具をご紹介します。
まず、輸液を早く落として終わらせてあげたい。静脈点滴と違って筋肉と皮膚の間に輸液を流すだけなので、じゃんじゃん輸液を流してしまって大丈夫です。早く終わったほうがお猫様達のストレスが少なくて済みます。
うまい具合に壁などに輸液バッグをかける場所があればいいのですが、うちは家具の配置的にちょっと難しくて。
専用のひっかける道具・・・名前がわからないですが入院してる人とかがガラガラ引いて歩いてるアレを買おうかと思ったのですが、高いし、他に使い道がないし、実用的な何かで代用出来ないかと考えて考えて・・・
これで代用することにしました。
これなら点滴する時以外はコートとか帽子とか掛けておけるし、移動も楽です。点滴セットをバックなどに入れてこれに掛けておくのも便利です。
おこわは心筋症があるのであまり多く輸液を入れてしまうと心臓に負担がかかったり胸に水が溜まってしまったりするので、1回に100mlまでしか入れられませんが、腎不全のみの場合はもう少し多く輸液を入れます。
100ml程度なら、輸液バッグを手で絞りながら流せば早く終わります。結構握力を使うので、量が多いと手で絞るのはキツいと思います。私は腱鞘炎があるので100mlでもけっこうキツいくらいです。
量が多い場合は、補助で加圧バッグがあると便利です。
おこわは250mlの輸液バッグで100mlを入れるので、加圧バッグでの液量調整が難しくて使わなくなりましたが、250ml全部入れるならこのバッグを使うとあっという間に終わると思います。500ml用ですが、250mlでも使えます。
計りがあれば輸液バッグ全量じゃなくても使える事は使えます。私も腱鞘炎の調子次第では買おうかと思ってます。
ちなみに・・・
輸液を【水】と考えると、1mlは1gで計算すれば良いのですが、念のためかかりつけの獣医師さんに確認してください。
あとは保定がうまく出来るかですが・・・
最近の便利グッズはクッションです。動物病院で使っている保定用のクッションと似た形状のものがたまたまうちにあって、使ってみたら見事にスッポリ胴体がはまるし、無理なく押さえることが出来ます。
こんな感じの二つ折りクッションの間に挟まってもらって、ぎゅっと抱きしめる要領で押さえながらばあやがちゅーるに集中させているすきにジャーっと輸液を流しちゃいます。挟まり心地は悪くないようで、逃げようと体をねじねじしたりくねくねしたりしません。
それでも、急に嫌がり始める時があるので、その時その時のお猫様の体調や気分に合わせて何通りかの保定方法を試してみて、嫌がり始めたら別の方法を使ってみたりしてます。
万年家のバリエーションは、
- 100円ショップで購入した水切りかご(写真でおこわが入っている)に入ってもらって、ちゅーるをあげながら
- 体がぴったり入るくらいの大きさの段ボールに入ってもらって、首の部分にタオルをかけてタオルで押さえながら
- 二つ折りクッションに挟まってもらい、ちゅーるをあげながら
この3パターンです。
どのお猫様にも合うというわけではないと思いますが、万年家は今のところこの方法でおこわも頑張ってくれています。
おこわはそこまで暴れないので使わずに済んでますが、いざという時の為に保定袋も用意してあります。
慢性腎不全の猫ちゃんと暮らす方が、皮下輸液によるストレスを軽減するために考えて製品化した商品なのですが、これが優れものなんですよ。
猫袋屋ホックスファミリーさんの保定猫袋です🐈🐾✨
すごーく頑張って考えて製品化までこぎつけたんだろうなあ・・・と感心する商品です。
一般的な保定用のみのむし袋でもおネコ様の気性によっては問題ないのですが、液体とも呼ばれるおネコ様たちは袋の中で思う存分くねくね動き回る事が出来ます。一回転もおてのもの。
点滴の針を背中に刺している状態で一回転なんてされてごらんなさい。おネコ様に痛い思いをさせてしまいます。
ご紹介する保定袋は、そんなトラブルを防ぐために首回りとお腹に紐が付いていておネコ様が動かないようにしっかり保定する事が出来ます。
首から下の部分はファスナーになっているので、ファスナーを開けてそこから針を刺します。
ファスナーは首回りに6本もあるので、その時のおネコ様の体勢に合わせて使う事が出来ます。
しっかり袋に入ってもらえば逃げないようにする必要がないので、片手でおネコ様の動きを封じて、もう片方の手を点滴に使う事が出来ます。
慣れれば一人で上手に点滴出来るかも👌※おネコ様の気性によってはどうしても一人では無理な事もあるので、その場合は動物病院に相談しましょう・・・
素材は帆布でしっかりしているし、帆布って見た目もおしゃれでかわいい。デザインも何種類かあるので、是非チェックしてみてください🥰
私が大好きな三ツ池動物病院さんのYouTubeチャンネルで、簡単な保定の方法を公開してますのでそちらも是非ご視聴ください。
自宅での投薬や点滴などの治療の方法も公開していてとても為になるし、何より来院するお猫様達がとてもかわいいです。
点滴の方法は使う道具や獣医さんのやり方によって様々なので、病院で教わるやり方を元に工夫をしてみてくださいね。
慢性腎不全と肥大型心筋症の治療バランス
この二つの病気は全く逆の治療が必要です。
腎不全の治療でメインになるのは、皮下点滴による脱水の改善。水分をたくさん体に入れる必要があります。
対して心筋症の治療では、心臓に負担がかかる事により肺水腫・胸水・腹水(水がたまってしまう)になってしまうのを防ぐ為に利尿剤を使って水分を排出する事があります。
水分が必要な治療と水分を排出する治療。
どうすりゃいーんだ。と思いますよね。
おこわは心筋症を考慮して、1回の輸液量を100mlに制限して腎臓病の治療として皮下輸液をしています。
輸液を体が吸収する過程で心臓に負担がかかるので、量を調整しないと肺水腫・胸水・腹水になる危険性があります。
そのため、定期的に病院へ行って心拍数をチェックして水が溜まっていないかどうかをエコーでチェックします。
腎臓病の事だけを考えたら輸液をたくさん入れて気分を良くしてあげたいのに、すごくもどかしいです。
今はとにかくこのバランスを上手に保って双方を治療していくしかない。
私が今日々心掛けていることは
- 脱水のチェック(背中の皮膚をつかんで持ち上げて、離した時にすぐ元に戻らずつかんだ時の形のままだと脱水してる)
- 呼吸がいつもより早くないか・息が上がってないかのチェック
- 食欲・飲水量が減っていないかのチェック
- 口の中に口内炎などが出来ていないかのチェック※腎臓が悪くなると口腔内に潰瘍ができやすくなり、潰瘍が気になるとご飯が食べずらくなり食べる量が減ってしまう
以上を毎日チェックして、異常がある時はまずかかりつけの病院に電話をして相談するようにしてます。
ちなみにこういった相談をした時に全力で対応してくれない病院はすぐに変えたほうがいいです。
お猫様の慢性腎不全に関しては、お猫様の宿命とも言える病気なのでどこの病院も治療方法は確立されていると思うのですが、心臓に不安が出てきた場合は、循環器が得意な先生が在籍している病院を探して相談する事を私はお勧めします。
まとめ・・・
何だかとても長くなってしまいましたが・・・
お猫様が腎不全にかかる確率は高いと良く見聞きします。
正直私はおこわが腎不全にかかるまであまり意識したことはなかったです。
心筋症なんてもっと意識してなかった。
どちらも進行性で完治する病気ではないのですが、腎不全に関してはAIMタンパクを使った特効薬の開発が進んでいて、完治出来る病気になる日は遠くないのではないかと期待しています。
慢性腎不全も肥大型心筋症も、早期発見出来れば完治はしなくても進行を遅らせるための投薬や治療方法はあります。
進行を遅らせる事が出来れば、症状が悪化しない限りは適切な投薬や治療をしながらQOL(生活の質)をある程度は維持していく事が出来ます。
どちらも初期に症状が出ないので気付いた時には進行してしまっている事が多い病気なので・・・
毎日おネコ様の体調をチェックして、少しでも様子がおかしいと思う時は獣医師さんに相談してみてくださいね。
何ともなければそれで安心なので、おネコ様にストレスを与えすぎない程度に獣医師さんに診てもらうように私は心がけています。
定期的に健康診断を受けて、お猫様達が元気で長生き出来るよう、お世話係である私たちがしっかり健康管理してあげたいですね。
お読みいただき万年家一同感謝です💚
ありがとうございました🐈🐾